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音楽 映画

2012年11月 3日 (土)

八月の狂詩曲とヴィヴァルディ「スターバト・マーテル」

雨漏りの修理屋のブログ

スティーヴン・スピルバーグ監督の「ミュンヘン」を観なおしていて、

黒澤明監督の「八月のラプソディー」思い出した。

それは、「ミュンヘン」の最後に「こんなことの先に平和が訪れるはずがない、

それが真実だ」 ・・・ というアヴナーの台詞がある。

「八月のラプソディー」にも、おばあちゃんが「戦争に勝つためには人はなんでもする、

いずれは己を滅ぼす」、・・・ 言葉は異なるが、意味は一緒である。

あらためて「八月のラプソディー」を観なおすと、・・・ よくできた映画だ。

子どもたちのギコチナサまで計算され尽くしている、匠でなければ出来ない技、素晴らしい。
   

特に印象深いのは、音楽好きのせいもあるが、長崎市内の原爆記念碑や

学校に残された無残な姿のジャングルジムのモニュメント。

この画面に移ると、ヴィヴァルディ「スターバト・マーテル RV621」が流れる。

悲しみに沈める御母は、御子のかかりたもう十字架のもとに、涙にむせびてたたずみたまえり。

・・・で始まる「スターバト・マーテル」、ヴィヴァルディの数ある宗教音楽の中でも屈指の名曲。

詩のラクリモーサ『Lacrimosa』と唄われるたびに心が締め付けられる。

ジャングルジムのモニュメントは十字架である。その十字架に架けられたおじいちゃんを

追悼するために 「スターバト・マーテル」 がながれる、選曲が素晴らしい。

ジャングルジムのモニュメントは原爆による、戦争によるすべての犠牲者に捧げられる。

黒澤明監督の優れた音楽センスに脱帽。

 

        No1  
         左:ホグウッド盤        右:ネグリ盤 

      
「スターバト・マーテル」は多くの作曲家がこの詩に曲を付けているが、

パレストリーナ、ヴィヴァルディ、ペルゴレージ、ロッシーニ、ハイドンの作品を好みにしている。

そして今回の映画に使われたヴィヴァルディ「スターバト・マーテル」は、

ホグウッド&エンシェント室内管弦楽団&カウンターテナーの編成。

このCDもイイが、古楽器を使っているのと、カウンターテナーが何故か胃にもたれるので、

ヴィットリオ・ネグリ&コンセルトヘボウ室内管弦楽団&アルトのCDで聴くことが多い。

曲の流れ、細部の表現、テンポと申し分なく、アルトの表現力はカウンターテナーを

上回っているように感じる。   映画に使われる音楽は難しい。

うまく使われれば映画を引き立て、画面の表現以上に意味を追加することもできる。

下手に使われたら、映画を台無しにする。本映画「八月のラプソディー」は大成功でしょう。

これが、ロッシーニ、ヴェルディの「スターバト・マーテル」でもどうだろうか。

ヴィヴァルディで正解でしょう。

         Vivaldi_5_3

言い忘れたが、映画「ミュンヘン」の音楽も大変素晴らしい。冒頭の曲からたまらない魅力で、

我々をグイグイ映画の中に引きずり込んでいく。

作曲はジョン・ウィリアムズで 「ジョーズ、インディ・ジョーンズ、ET、スター・ウォーズ、

シンドラーのリスト」 ナドナドの音楽も作曲している大作曲家。