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2010年10月30日 (土)

波の伊八と葛飾北斎とシューマンと石川雲蝶

雨漏りの修理屋のブログ

先日TVで「美の巨人たち 石川雲蝶」の番組を見ました。ウィキペディアによると

石川雲蝶・・・1814年(文化11年)- 1883年(明治16年))は幕末期の彫物師。

32歳の時越後国永林寺(現魚沼市)の22世円応弁成和尚の招きで越後国に入る。

永林寺の欄間などの彫刻群や「越後の日光」と言われる西福寺開山堂(現魚沼市)、

秋葉神社奥の院(現長岡市)など、多くの彫刻を各地に残した。後に三条に戻り、

1883年(明治16年)70歳で死去した。

石川雲蝶は大層な酒好きで、興が乗らなければ鑿を握らなかったと言われるが、

その彫刻の多くは色鮮やかで彫りが深く、何層にも彫り重ねられた精巧さと

大胆な構図が特徴である。

・・・TVを見ていても作品の質の高さが伝わって来ます。

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この番組を見ていて、「石川雲蝶」の少し前に同じ彫り物師として一世を風靡した

波の伊八」こと「初代武志伊八郎信由」(1751~1824年)の作品を見学したのを

思い出しました。電車の中にJR東日本のポスター「波の伊八ツアー」を見て興味津々、

又伊八の作品が「葛飾北斎」(1769-1849)に強い影響を与え、かの名作を生み出した、

となると見学しないわけにはイカナイ。かの名作とは、富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」。

この稀代の名作が影響を受けたと云われている。葛飾北斎ファンとしては放っておけない。

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事前に鴨川周辺の「波の伊八」の作品が残っている寺院を調べ、爺集団4人は

車で数日の予定で出発しました。この爺集団は時に8人に増えることもあります。

予想に違わず素晴らしい作品ばかり、車の中でも、ホテルで食事中も、お風呂に入ってまで

「波の伊八」の作品に賞賛の嵐。いつもの爺集団、4人(時に8人)は驚くほど多趣味、

どこに行っても、甚だしく意見が違います。しかし、このときだけは全員の意見が一致。

それは、いすみ市の「飯縄寺」(いずなじ・はんじょうじ)で見た伊八の作品でした。

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      飯縄寺本堂            鐘楼にも伊八ではないが沢山の彫像が

「飯縄寺」の本堂正面の欄間中央、鞍馬山で牛若丸が大天狗より巻き物を伝授される

光景を彫った「天狗と牛若丸」、これも大変素晴らしい作品で見とれていましたが、    

       Cimg1684

実は「天狗と牛若丸」の両脇の欄間に掲げられた「波と飛龍」の彫り物に驚嘆したのです。

それは、得意の荒れ狂う大波が彫られ、その上に飛龍(龍神)が彫られています。 

関東へ行ったら波は彫るな」と日本中の彫り物師を寒心させた「波彫りの名人」ですから、

波の彫りの素晴らしいのは当たり前、と言ってもこの波(1796年彫上)は「波の伊八」の

波彫り史上、最高の波ではないでしょうか。その激しさは想像を絶する迫力です。

更に我々を驚嘆させたのは伊八の彫る飛龍のリアリティーでした。

  Cimg1686
   「天狗と牛若丸」の両脇の欄間に掲げられた右側の「波と飛龍」  

吃驚、この飛龍には羽があります。そして気持ち悪いくらい写実的な太く波打つお腹、

いまにも声が聞こえそうな口元、薄気味の悪い尾、オリジナリティーの塊です。

透かし彫りで深い奥行きと陰影が、いまにも抜け出して飛翔しようとしています。感嘆!

「天狗と牛若丸」を両脇で「波と飛龍」がお守りしているという構図でしょうか。

天狗と牛若丸、両側の飛龍だけでなく、本堂の向拝も見事な龍の彫刻で、裏面も丁寧に

彫ってあり必見です。鴨川近辺の伊八の作品を全て見たわけではありませんが、

「飯縄寺」を見れば、他を見なくても伊八のセンス、技の全てを見ることができます。

又本堂天井画の墨絵「龍」は、「秋月等琳」の銘が発見され、「雪山」の落款から、

葛飾北斎の師匠である3代目堤等琳であることが判明したようです。

師匠の描いた龍図があれば、その場所に北斎が訪れるのも当然のこと。その時北斎は

「波と飛龍」の波に深い感銘を受けた、バッハがヴィヴァルディの曲を編曲したように、

ブラームスがハイドンの曲を編曲したように、北斎は似て非なる波を版画で構築した。

「神奈川沖浪裏」の波は激しく荒々しい波、爺どもが注目しているのは波の先端の飛沫、

荒波の先端が恰も生き物のように小舟に襲いかかる、その刹那を見事に捉えている。

行元寺」の「波と宝珠1809年彫上」の波は、飯縄寺の「波と飛龍」から10年以上後の

作品ですから、優雅で洗練された波に見え、爺どもは全く異質の波と見ました。

いずれにせよ、200年も前の天才の作品を見ることができることに爺どもは感激。

    Cimg1729
      行元寺、客間の欄間「波と宝珠」
   
    Cimg1731_2
    「神奈川沖浪裏」に似ている上記欄間、波の拡大だが・・・

 

「飯縄寺」を見学したときは、見学時間がギリギリなので、「飯縄寺」に電話して了解を取って

伺いました。時間的にも我々だけ、見学時間を過ぎてもご住職はいやな顔せずに

寺院内の伊八以外の作品についても丁寧に説明をしてくださいました。

心温まる感動の時間を過ごすことが出来ました。時は夕刻、本堂(西向き)に

「天狗と牛若丸」を、輝く夕日が照らし出します。 見事!一同が唸りました。

飯縄寺を出てから鴨川のホテルまで、1時間少々車内は伊八の賛美に終始しました。

  Cimg1698
    飯縄寺の山門・仁王門、なんとも渋い佇まい、優美です

       飯縄寺(千葉県いすみ市岬町和泉2935-1)

  写真がド下手なので、撮影技術の優れたサイトで飯縄寺を確認してください。

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「葛飾北斎」ファンである爺どもは全国にある北斎作品も見に行っています。

信州・小布施「北斎館」、晩年の北斎の肉筆画「祭屋台天井絵」や「富士越龍図」、

岩松院の「八方睨み鳳凰図」、各地で催される北斎展など、爺どもは大満足です。
        

北斎の功績は海外で特に評価が高く、1999年にアメリカの雑誌「ライフ」の企画、

「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人としてただ一人

ランクインしました。世界が認め、世界中の天才の仲間入りです。
      

北斎の肉筆画で気になるのが、自画像と云われる「柳の下でくつろぐ北斎」。

旅の途中か、ただ漫然と前方を見つめる北斎、つかの間の静寂、水音、鳥の声。

北斎が自身の心の奥底を見つめて描いている、どのような心境が描かせたのか。

この絵を見ていると何故かシューマンの交響曲第2番・第3楽章が響いてきます。

破天荒と云われた北斎、シューマンのガラスのような繊細さが描いた交響曲、

相反する性格の2人だが、何か共通する物があるように思われてならない。

そんな勝手な憶測が、シューマンの交響曲第2番ハ長調・第3楽章を鳴らすのでしょう。

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  「柳の下でくつろぐ北斎」      シノ―ポリ指揮/ウィーンフィルの1983年の演奏

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そのうち「石川雲蝶」の作品鑑賞に出かけなくてはならない。

はたして、波の伊八、葛飾北斎同様の感動を受けることが出来るか、楽しみです。

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